事例紹介

2024.10.01
  • 相続
  • 相続コラム

古い抵当権の抹消書類(登記原因証明情報と申請書副本)

はじめに

相続登記のご依頼をお受けした際に、登記簿の乙区に返済済であるものの抹消しないまま残ってしまっている抵当権がしばしばあります。ご相続時に生命保険で返済された場合は金融機関から送付された抹消書類ですぐに抵当権抹消登記をすることができます。ところが、被相続人が随分前に返済されたものの抵当権抹消登記をしないまま亡くなってしまったというケースも珍しくありません(古い抵当権の抹消については本当に様々なケースがあります)。

足りない抹消書類

古い抵当権の場合、登記上の抵当権者である法人(金融機関や保証会社)がそのままの名称であることはまれで、だいたいは商号変更や合併により別名称の法人となっています。まずはそれを調査し、現法人の抵当権抹消の手続き窓口が分かったら当該抵当権について照会することになります。

古い抹消書類が手元に残っている場合は新しい書類とそのまま差し替えてもらえることが多いです。今回は金融機関の抵当権設定登記済証と委任状がありましたので、登記原因証明情報と新しい委任状の交付を依頼したところ、登記原因証明情報が手元にないのであれば交換ではなく再発行となるので、相続人の実印や印鑑証明書、相続証明書(戸籍等)の提出が必要となるとのことでした。

しかし、お客様からお預かりした古い抹消書類が送られた当時の送付書を確認しても登記原因証明情報は送付されていなかったようです。その旨説明しても答えは同じでした。何かおかしいと思い調べると、完済当時は旧不動産登記法において申請書副本という制度があったため、委任状があれば登記原因証明情報が無くても抵当権抹消登記が可能でした。それでそもそも金融機関から登記原因証明情報が送られてきていなかった可能性が高いと思われます。その旨を窓口の方へご説明すると理解していただき、手元の委任状と交換で登記原因証明情報と新しい委任状を交付してもらうことができました。

おわりに

ローンを完済されますと金融機関から抵当権の抹消書類が送られてきます。手続きをしなければならないことはなんとなく理解できても、どこへ依頼すればいいか?と思いあぐねているうちに時間が過ぎてしまうということはあると思います。しかし時間が経てば経つほど手続きは複雑になりますし費用も手間も増えますので、ローンを完済し金融機関から抵当権抹消書類が届きましたら、まず私ども神楽坂法務合同事務所へご連絡くださいませ。また、ご自身では手に負えない古い抵当権の抹消登記手続きももちろんお任せください。

(文責:村上)