- 2025.01.01
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- 不動産登記
- 相続コラム
敷地権に地上権が含まれ建物に規約共用部分があるマンションの登録免許税(相続の場合)
はじめに
表題のようなマンションの相続登記の依頼がありました。敷地権は所有権部分(複数筆)と地上権部分(複数筆)に分かれており、建物には規約共用部分があります。この場合、敷地権の価格によっては租税特別措置法第84条の2の3第2項(不動産の価額が100万円以下の土地についての免税措置)の適用の有無が問題になります。
租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用について
今回のケースでは、敷地権のうち所有権部分については、敷地権の価格が100万円以下の土地は当該敷地権につき租税特別措置法第84条の2の3第2項が適用され免税となりますが、地上権部分については、敷地権の価格が100万円以下であっても租税特別措置法第84条の2の3第2項は適用されず登録免許税が課税されます。そして、移転する権利が地上権の場合は100分の50を乗じるので、相続登記の登録免許税率は不動産価格の1000分の2となります(登録免許税法第17条第四項)。
規約共用部分について
規約共用部分とは、契約時のマンションの規約で、あらかじめ共用部分として設定されている場所のことです。「管理室」「集会所」などが代表的な規約共用部分です。共用部分とは、マンションの区分所有者が全員で共用している部分であり、規約共用部分は、区分所有者が所有している専有部分とセットですので、専有部分について相続登記をすれば足りることとなります。しかし、登録免許税については専有部分の評価額にこの規約共用部分の評価額も加えて算出することとなります。
おわりに
敷地権が所有権か地上権かにより免税措置の適用有無が異なること、また、規約共用部分は名義変更をしないので、申請書の不動産の表示には書かれないにもかかわらず、登録免許税の金額欄には規約共用部分も含めた金額を書かなくてはならないので注意が必要です。マンションは、底地が敷地権化されているか否か、敷地権の種類、筆毎の持分割合、附属建物の有無、規約共用部分の有無など、確認すべきポイントが多く、登録免許税の計算も複雑で、漏れなく確実に登記をするために神経と労力と時間を使いますので、専門家に任せるのがおすすめです。マンションの相続登記は是非神楽坂法務合同事務所へお任せください。
(文責:村上)
参考:規約共用部分について(平22.10.12採決)