事例紹介

2025.06.02
  • 不動産登記

一部移転登記された抵当権の抹消登記について

はじめに

弊所で先日ご依頼を受けました標記登記についてご紹介したいと思います。今回の抵当権の準共有(一つの抵当権に対し抵当権者が複数いる状態)は、お客様が銀行でお借入れされた住宅ローンの残債の一部を保証会社が銀行へ(保険金として)支払ったことにより抵当権の一部が保証会社へ移転されたケースでした。その後お客様が銀行及び保証会社に対し残債の全てを完済され、登記のご依頼をいただきました。

準共有抵当権の抹消登記においては、いつどのように債務が弁済されたか、抵当権者がどのような登記原因に基づく抵当権解除証書を発行するかで登記申請内容が変わってまいります。

一度に抹消できる場合

同日に銀行と保証会社の債務が弁済され、銀行と保証会社の抵当権抹消について、登記原因、日付が同じ場合は登記義務者を銀行及び保証会社2名として、一回の申請で抹消することができます。抵当権者は2名ですが、登録免許税も1不動産につき1000円となります。

一度に抹消できない場合

例えば、先に銀行か保証会社の債務を弁済し、後にもう片方の債務を弁済し抵当権が解除された場合、一度に抹消登記は申請できず、1件目に抵当権変更登記を、2件目に抵当権抹消登記を申請します。

【登記申請書記載例】

抵当権変更登記

登記の目的 抵当権変更
原   因    年  月  日〇〇の債務弁済
変更後の事項
債権額 金
権 利 者 所有者
義 務 者 □□
不動産の表示 

抵当権抹消登記

登記の目的 抵当権抹消
原   因    年  月  日解除
権 利 者 所有者
義 務 者 ■■
不動産の表示 

おわりに

上記後者の事例(変更登記+抹消登記)の場合、抵当権変更及び抵当権抹消それぞれの登記申請につき義務者が弁済を受けた抵当権者のみとなるのか、準共有の抵当権者2名とも義務者となるのかについては見解の違いがあり、管轄の法務局へ事前に照会されることをおすすめします。ご参考までに、弊所で実際に照会した事例(千葉地方法務局松戸支局)では弁済を受けた抵当権者単独の義務者でOKとの回答でしたが、担当登記官により見解が異なる可能性もありますので、申請毎に照会されるのがよろしいかと思います。複雑な抵当権抹消登記はぜひ神楽坂法務合同事務所へご相談ください。

(文責:村上)