事例紹介

2026.10.16
  • 不動産登記

ローン完済後放置していた抵当権の抹消について(代理権不消滅)

はじめに

住宅ローンを完済すると、金融機関から抵当権抹消登記に必要な書類がもらえます。そのまま司法書士へ登記を依頼するとすぐに手続きしてもらえます(もしくはご自身で法務局へ登記申請することも可能です)。もし手続きせずそのまま放置してしまった場合、抵当権は自動的には消えませんので、売却したり、また不動産を担保に金融機関から融資を受けようとしたりする場合は抹消しなくてはなりません。

抵当権抹消方法

時間が経ってしまった場合、金融機関から受領当時の書類がそのままでは使用できないことがあります。住宅ローンを完済し金融機関から抹消書類を受領したときには委任状に記載されている金融機関の代表者がAだったが、抵当権抹消登記をしないでいる間に代表者がA→B→Cに交代していた、というような場合です。

この場合、受領した委任状でそのまま登記をしようとすると委任状に記載されている代表者はAなので現在の代表者Cとは異なるということになります。その場合は、次のいずれかの方法により手続きします。

 

1. 金融機関に抹消書類の差し替え(新しいものと交換)をしてもらう

2. 抹消書類発行時の代表者の在任期間を証明する書面を添付して登記申請する

1については、金融機関に連絡を取り手続きを進めますが、今回は2についてご説明したいと思います(もし抹消書類ごと紛失してしまった場合は金融機関へ連絡して再発行してもらう必要があります)。

この場合は、不動産登記法第17条の代理権不消滅の規定にもとづき、代表者Aの代表権は現時点で消滅しているが、代理権(当時の代表者Aから抵当権抹消登記申請の委任を受けた権利)は消滅していないということを証明することにより、抵当権抹消登記を申請することができます。

参考
不動産登記法第十七条(代理権の不消滅)
登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
一 本人の死亡
二 本人である法人の合併による消滅
三 本人である受託者の信託に関する任務の終了
四 法定代理人の死亡又はその代理権の消滅若しくは変更

登記申請時の留意点

・委任状記載の代表者が在任していた期間を証明する閉鎖登記事項証明書等を添付する。

・申請書の抵当権者(抹消登記義務者)代表者欄には現在の代表者を記載する。

・委任状の日付は、委任状記載の代表者が在任中の日付とする(司法書士に委任した日や登記申請日を記載すると矛盾が生じ訂正を求められる場合があるので注意)。

・その他事項欄に、「代表取締役〇〇の代表権は令和〇年〇月〇日退任により消滅している。」等代表権喪失の日付を記載する。

おわりに

抵当権抹消は、ローン完済後お手続きしないまま時間が経ちますと、代表者の交代だけではく法人そのものが合併を繰り返す等、どんどん複雑化しますので、金融機関から抹消書類を受け取ったらなるべく早くお手続きされることをおすすめいたします。また、相続登記の段階で抹消されないまま放置されていた抵当権が判明することも多いです。その場合も気づいた時点で合わせて登記されることをおすすめしています。代理権不消滅の場合、当時の代表者の在任期間確認方法等も個人の方には難しいことも多いので、お手続きにお困りの場合は是非専門家へご相談ください。

(文責:村上)