- 2026.02.16
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- 後見、信託
はじめての後見制度 ~成年後見を申し立てる前に~

はじめに
前のコラムで成年後見制度について知り、
「少しわかってきたけれど、まだ迷っている」
そんなお気持ちの方も多いのではないでしょうか。
成年後見の申立ては、家庭裁判所に申し立てを行う法的な手続きで、人生の大切な場面に関わる選択です。だからこそ焦って決める必要はありません。
このコラムでは、申立てを考え始めた方が、次に知っておきたい基本的なポイントを、やさしくご紹介します。
本人の気持ちは、ちゃんと大切にされる?
成年後見は、本人のための制度です。
家庭裁判所は、本人の判断能力の状態や意思を確認したうえで、できる限り本人の気持ちを尊重します。
「何も分からなくなったから、すべてを決められてしまう」
という制度ではありません。
できることは本人が続け、難しくなった部分だけを後見人が支える、それが成年後見の基本的な考え方です。
家族が後見人になれるとは限りません
申立てをすると、必ず家族が後見人になる、そう思われている方も少なくありません。
実際には、後見人を選任するのは家庭裁判所です。本人の状況や親族関係などを踏まえて、
・親族が後見人になる場合
・司法書士や弁護士などの専門職が後見人になる場合
があります。
どちらが良い・悪いではなく、本人にとって、一番適した後見人が選任されます。
後見人ができること・できないこと
後見人の主な役割は、財産管理と身上監護(生活面の支援)です。
具体的には、
・預金の管理
・支払いの管理
・施設入所や医療に関する契約手続き
などを行います。
一方で、本人の楽しみを制限したり、日常生活の細かい選択まで決めたりすることはできません。
成年後見は、支配する制度ではなく、支える制度です。
申立ての費用はどれくらいかかる?
家庭裁判所に成年後見の申立てをする際、主に次のような費用がかかります。
・申立手数料(収入印紙)
後見の登記費用 2600円
後見開始の申立手数料 800円
※保佐の場合は、代理権付与の申立てを行うと、さらに800円が必要になります。
・連絡用の郵便切手
4000円~5000円ほどかかります。
※必要な金額や内訳は、裁判所ごとに異なります。申立先の家庭裁判所で、事前に確認することをおすすめします。
・戸籍謄本や住民票の取得費用
裁判所や事案によって多少前後しますが、合計すると、おおむね1万円~2万円程度になることが多いです。
・医師の診断書作成費用
本人の判断能力の状態を確認するためのものです。成年後見用の診断書が必要です。
医療機関によって金額は異なりますが、5000円~1万円程度が一般的です。
後見人への報酬
成年後見が始まった後は、後見人への報酬が発生します。
この報酬は、家庭裁判所が決定します。
目安としては、
・親族後見人:報酬なし~少額の場合もあり
・専門職後見人:月額2万円前後が多い
ただし、財産の額や、業務の内容によって増減します。
報酬は、本人の財産の中から支払われます。申立人や家族が、自分のお金で負担する仕組みではありません。
おわりに
成年後見の申立ては、すぐに答えを出すことよりも、正しく知ることが大切です。
迷っているということは、それだけ家族のことを真剣に考えている証拠でもあります。一歩ずつ、ご自身のペースで考えていきましょう。
(文責:五味)