- 2026.03.16
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- 後見、信託
はじめての後見制度 ~成年後見の申立てと後見人の決まり方~

はじめに
「成年後見の申立てを考えているけれど、司法書士に依頼すると何をしてくれるの?」
「家族が後見人になれるの?それとも裁判所が決めるの?」
成年後見制度を検討し始めると、手続きだけでなく、後見人が誰になるのかも大きな関心ごとになります。
この記事では、
・成年後見の申立てを司法書士に依頼した場合の関わり方
・後見人候補者の仕組み
・親族後見と専門職後見の違い
を、できるだけやさしく、わかりやすく解説します。
成年後見の申立てを司法書士に依頼する場合の流れ
まずは相談から
いきなり書類作成に入るのではなく、
ご本人の判断能力の状況
財産の内容
ご家族の関係
今後の予定(不動産売却など)
を丁寧に整理します。
本当に成年後見が適切かどうか、任意後見など他の制度が向いていないかも含めて検討します。
申立書類の作成サポート
成年後見の申立てでは、
申立書
財産目録
収支状況報告書
親族関係図
など、多くの書類が必要です。
司法書士は、家庭裁判所に提出する書類一式の作成をサポートします。
手続きの見通しの説明
面接の流れ
審判までの期間
選任後の義務
などを事前にお伝えします。
「先が見える」ことは、安心につながります。
家族が候補者になる場合
ご家族を後見人候補者として申立てることができます。
家庭裁判所は、
財産の規模
親族間の関係
管理能力
利益相反の有無
などを総合的に判断します。問題がなければ、そのまま親族が選任されることも多くあります。
家庭裁判所が専門職を選任する場合
次のような事情がある場合、家庭裁判所が、司法書士や弁護士などの専門職を選任することがあります。
財産が高額
不動産売却の予定がある
親族間に対立がある
親族後見と専門職後見のメリット・デメリット比較
後見人には、大きく分けて
親族後見
専門職後見(司法書士・弁護士など)
があります。
親族後見のよいところ
親族後見のいちばんの安心材料は、もともと家族であることです。
ご本人の性格やこれまでの生活をよく知っている
気持ちをくみ取りやすい
日常の様子を把握しやすい
という点は、大きな強みです。また、状況によっては、報酬を受け取らずに行う方もいらっしゃいます。
親族後見で気をつけたい点
一方で、後見人になると、
家庭裁判所への定期報告
財産の厳格な管理
不動産売却などの許可申立て
など、法律上の義務が発生します。「家族だから」という気持ちだけでは負担が大きく感じられることもあります。また、他の親族との関係によっては、「お金の管理を任せて大丈夫なのか」と疑いを持たれてしまうこともあります。
専門職後見のよいところ
専門職後見の特徴は、法律や財産管理に精通していることです。
手続きに慣れている
裁判所とのやり取りがスムーズ
中立的な立場で対応できる
という安心感があります。親族間に意見の違いがある場合にも、第三者として冷静に対応できます。
専門職後見で理解しておきたい点
専門職が後見人になる場合、原則として報酬が発生します。報酬額は家庭裁判所が決定します。また、家族ではないため、日常の細かな気持ちまでは分かりにくいこともあります。ただし、その分、公平で安定した支援が続けやすいという側面もあります。
どちらが正解、ということではありません
親族後見がよい場合もあれば、専門職後見のほうが安心な場合もあります。大切なのは、
財産の内容
家族の関係
今後予定している手続き
継続して管理できる体制があるか
といった事情を踏まえて考えることです。
「家族だから必ず親族後見がよい」
「専門職のほうが絶対に安心」
と単純に決まるものではありません。申立て前に整理することで、後悔のない選択につながります。
依頼するかどうかは、相談後に決めて大丈夫
「相談したら依頼しなければならないのでは?」と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、相談だけで終わることも可能です。大切なのは、納得して進めることです。
おわりに
成年後見の申立ては、手続きだけでなく、後見人選任という重要な判断も含まれます。だからこそ、制度の仕組みを正しく理解し、状況に合った形を選ぶことが大切です。
一人で抱え込まず、専門家と一緒に整理することで安心して一歩を踏み出せます。
(文責:五味)