- 2026.05.15
-
- 不動産登記
- 相続
- 相続コラム
相続登記にかかる実費の計算について

はじめに
相続登記にかかる費用については、①司法書士報酬と②実費の2種類があります。
弊所の司法書士報酬については、相続人の数、不動産の数、数次相続の有無等により計算いたしますので、お客様に相続の内容をヒアリングさせていただきお見積りを提示いたします。実費については、どなたが手続きをされても同様にかかる金額ですので、ご自身で登記されるか、もしくはどの司法書士へご依頼されるかをご検討の際は、司法書士報酬のみを比較し検討されるのがおすすめです。とはいえ、ご依頼者様としては実費を含めていくらかかるのか気になるところと思います。実費の金額は一律ではなく、相続の内容により変わってまいりますので、その計算方法をご説明したいと思います。
4種類の実費
1. 登録免許税
相続登記を申請する際に国に納める税金です。不動産の評価額に0.4%を乗じた金額です(※1)。相続登記の場合、評価額が100万円以下の土地については登録免許税が免税となります(※2)。
※1 不動産の評価額は納税通知書の課税明細の中に「評価額」または「価格」として記載されています。
※2 ご参考 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html(法務省HP)
2. 戸籍、住民票(戸籍の附票)、評価証明書等役所で発行してもらう証明書代
市区町村役場に支払う発行手数料となります。
・戸籍謄本 1通450円
・除籍謄本、改製原戸籍(過去の戸籍) 1通750円
・住民票、戸籍の附票
全国一律ではありませんが、1通300円のところが多いです。
・評価証明書
自治体により計算方法が異なりますが、土地1筆につき300円、建物1棟につき300円程度が一般的です。
なお、郵送により請求する場合は、現金ではなく郵便小為替で支払うため、小為替手数料(1通につき200円)が別途かかります。
3. 郵送料
書類のやりとりにかかる郵送料です。弊所では郵送物の内容(書類の重要度)によりレターパックライトとレターパックプラスを使い分けています。令和8年4月現在、レターパックライトは1通430円、レターパックプラスは1通600円です。
4. 不動産登記事項証明書代
相続登記手続きの前に現在の登記内容を把握するため、登記手続き完了後は名義が申請どおりに変更されていることを確認するため不動産登記事項証明書を取得します。1通600円ですので、相続対象不動産の数×1,200円となります。例えば、土地1筆建物1棟の場合は2,400円となります。
具体的な計算事例
被相続人:父
相続人:母、長男(被相続人と別戸籍)、長女(被相続人と別戸籍)の3名
不動産を取得する相続人:長男
相続対象不動産:自宅の土地建物(土地1筆、建物1棟 法務局1管轄)
評価額:土地が1000万円、建物が500万円
上記事例の場合、下記①~④のとおり計算しますと、
登録免許税60,000円+各種証明書代7,700円+郵送料11,940円+不動産登記事項証明書代2,400円=実費合計82,040円となります(※3)。
※3 戸籍等の証明書類を郵送で取得する場合の計算です。書類の全部または一部をご自身で役所窓口にて取得される場合は、その分の郵送料と小為替手数料はかかりません。
①登録免許税
(1000万円+500万円)×0.4%=60,000円
②戸籍住民票評価証明書代(郵送で取得する場合)
被相続人の死亡時の住所と登記簿上の住所が同じ場合、下記計算の事例ですと、7,700円の証明書代となります。
【明細】
・被相続人の出生から死亡までの戸籍(仮に、出生~婚姻まで除籍謄本2通、婚姻~改製までの原戸籍1通、改製~死亡までの除籍謄本が1通の計4通で最後の除籍謄本が母の現在戸籍を兼ねている場合)
(750円(除籍謄本代)+200円(小為替手数料))×3+450円(父の除籍兼母の現在戸籍)+200円(小為替手数料)=3,500円
・相続人(長男、長女)の戸籍
(450円+200円(小為替手数料))×2=1,300円
・被相続人の住民票除票(本籍地と別の役所の場合)
300円+200円(小為替手数料)=500円
・不動産を取得する長男の住民票(本籍地と別の役所の場合)
300円+200円(小為替手数料)=500円
・評価証明書
(300円+200円(小為替手数料))×2=1000円
・印鑑証明書(自治体により定められていますが、1通300円が一般的です)
300円×3通=900円
③郵送料
下記計算の事例ですと、11,940円となります。
【明細】
・父の戸籍取得(役所が2か所の場合)
レターパックライトでの往復(430円×2)×2=1720円
・相続人の戸籍取得
レターパックライトでの往復(430円×2)×2=1720円
・住民票(戸籍の附票)取得
レターパックライトでの往復(430円×2)×2=1720円
・評価証明書取得
レターパックライトでの往復 430円×2=860円
・相続人への書類送付
依頼者様への初回委任状送付430円+返送600円=1,030円
押印書類(送付430円+返送600円)×相続人3名=3090円
・法務局申請及び返却の往復送料600円×2=1,200円
・完了書類返却送料 600円
④不動産登記事項証明書代
2(不動産の数)×1,200円=2,400円
おわりに
実費の計算方法をイメージいただけましたでしょうか。このほか、被相続人の転籍回数や婚姻歴が多い場合、登記簿上のご住所と死亡時のご住所が繋がらない場合、数次相続や代襲相続がある場合等、証明書代や郵送料が多くかかってしまうことがあります。
書類を全て取得し終えてみないと正確な金額が把握できませんので、残念ながら最初の時点で実費がいくらかをお伝えすることは難しいです。司法書士としても受任前に全ての書類の確認はできかねますので、ご心配な場合は上記の計算例をベースに個別の相続の内容に従っておおよそかかる実費をご自身で計算してみていただければと思います。
相続登記の実費についてお知りになりたい方へ本コラムがご参考となれば幸いです。
(文責:村上)