事例紹介

2024.07.02
  • 相続
  • 相続コラム

相続税と不動産の評価について

はじめに

弊所は司法書士法人ですが、相続登記の依頼を受ける際にお客様から「この不動産には相続税はどのくらいかかりますか?」というご質問を受けることがしばしばあります。

そこで、相続税の基本である「相続税がかかるか、かからないか」「相続税を納める人」及び相続税算出時の不動産の評価額について大まかにご説明したいと思います。

 

相続税がかかるか、かからないか

相続によって財産を取得した人の全てが相続税の課税対象者になるわけではありません。相続税には遺産から差し引くことができる基礎控除があります。

この基礎控除額を超える遺産がある場合のみ納税義務が生じます。また、この「遺産」というのは土地、建物、有価証券といった個々の財産毎に判断されるものではなく相続財産全体(保険金や生前贈与等のみなし相続財産も含めた総額)を指します。

 

基礎控除とは

基礎控除の額は法定相続人の数に応じて変わり、現行では3000万円+600万円×法定相続人の数となっています。

 

具体例

たとえば、夫婦と子ども2人の家庭で夫が死亡した場合、基礎控除の計算は次のようになります。

3000万円+600万円×3人=4800万円

つまり、4800万円が基礎控除となり、4800万円を超える遺産がなければ相続税はかかってこない(=相続税の申告も不要)といえます。

このように、基礎控除は法定相続人の数によって決まります。そのため、相続が発生した時点で基礎控除の額は確定します。

 

相続税を納める人

相続税は、遺産全体が基礎控除を超えていて、その遺産をもらった人だけにかかってくる税金であり、遺産をもらった人が納付しなければならないものです。

逆に言えば、どんなに多くの遺産があっても、遺族がまったく遺産をもらわなければ相続税は発生しませんし、遺産をもらった相続人ともらわなかった相続人がいる場合、全くもらわなかった相続人は相続税を支払う必要はありません。

 

不動産の評価額の計算方法

現金や預貯金であれば、残存価額がそのまま相続資産になりますが、不動産は相続財産としていくらになるのか、というのは国税庁の「財産評価基本通達」によって基準が設けられています。

土地については「路線価」を基準に、建物については「固定資産税評価額」を基準にして財産評価を行っていいということになっています。土地の価値の基準となる「路線価」は国税庁が毎年決める「道路に面している土地の評価額」のことです(路線価図については国税庁のホームページに掲載されています)。

路線価が定められていない地域については倍率方式で評価することになります。倍率方式による宅地は、その宅地の固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価額を算出します。

また、建物の「固定資産税評価額」は、市区町村の担当者が建物を見て、いくらぐらいかを算定して決めるものです。

 

小規模宅地の特例

被相続人の自宅、あるいは店舗や事務所など事業用に使っていた宅地は、残された家族や事業継承者の生活の基盤となる財産のため、これらの宅地の価額については一定の面積までを80%または50%引きで評価できることになっています。これを「小規模宅地の特例」といいます。

特例の対象となる宅地には、大きく分けて「居住用宅地」と「事業用宅地」の2種類があります。いずれも、被相続人または被相続人と生計を一にした親族が居住用または事業用としていたものが対象です。また、その宅地の上に建物や建築物があることが条件です。

この特例を受けられる人は、その宅地を相続や遺贈によって取得した人です。ただし、被相続人の配偶者など特定の場合を除き、少なくとも相続税の申告期限まで引き続き居住、または事業を行うことが求められます。制度の詳細は国税庁ホームページをご参照ください。

 

おわりに

上述しました小規模宅地の特例のように、相続税には様々な割引制度が設けられています。この「相続税の割引制度」を利用することで相続税の負担をかなり抑えることができます。

弊所では提携税理士事務所と共に相続税から相続登記、遺産整理業務までワンストップでご相談をお受けすることができますので、是非、私ども司法書士法人神楽坂法務合同事務所へお気軽にお問合せください。

 

(文責:村上)